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OracleによるBlueKai買収

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2月25日、OracleがDMPベンダーのBlueKaiを買収することを発表しました。エンタープライズソフトウェアの巨人によるアドテク領域への進出に、非常に大きな注目が集まっています。

BlueKaiとは?

BlueKaiは2007年に設立されたDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)分野のリーダー的ポジションを持っている企業です。当初は数百ものサードパーティデータのプロバイダーとして、近年では巨大なデータ・エクスチェンジビジネスのトップ企業として認知されています。

BlueKaiのようなDMPのデータと自社ウェブサイトのデータをCookieを軸に統合することで、自社ウェブサイトのユーザーにデモグラフィックなど属性データを加えて分析し、そこから得られたインサイトをもとに、DMPが持つデータを使って広告配信することができるようになります。加えて、CRMと連携させることでより深い分析を可能にするとともに、メール配信とウェブ広告を連携させたキャンペーンが展開できるようになります。(要するに自社の顧客になりそうなだけ人を選んで広告を出せるようになります)

BlueKaiのビジネスモデルは、DSP、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、他のDMP、データプロバイダーとサーバー間で連携し、そのエコシステム内でCookie IDをマッピングして巨大なデータエクスチェンジを構築。BlueKai自身が持つデータやデータエクスチェンジを通じて取得したデータをもとにターゲティングすることで、広告配信に付加価値を提供し、フィーを得るというものです。

さらに、買収したTrackSimpleの分析プラットフォームにより、広告主保有のファーストパーティデータの管理やモバイル端末のトラッキング能力を向上させています。ソーシャルログインを通じて得られるデータもファーストパーティデータとして蓄積されます。これらデバイスごとに蓄積されたデータを統合し、モバイルWebとアプリをまたがってトラッキングできるということですが、Cookieを使わないデータ収集手法を持っているとのBlueKaiの弁には、懐疑的な意見もあるようです。

競合としては、米国での個人データプロバイダーの雄である、AcxiomやExperian、DMP機能としてはAdobe、X plus One、Aggregate Knowledgeなどが挙げられます。

Oracleが目指すソリューションのイメージ?

まだ詳細は分かりませんが、これまでB2B向けのマーケティングオートメーションベンダーであるEloqua、B2C向けのResponsysの2つとBlueKaiを統合するという見方が有力です。様々なサードパーティデータが流通している米国では、CRMに使えるデータは豊富です。さらにBlueKaiによってウェブとサードパーティデータがシームレスにCRMと統合されることが期待できます。

2つのマーケティングオートメーションツールについてまとめてみます。

Eloqua:

  • 購入検討期間が長い、B2Bソフトウェア、金融、製造業、ヘルスケアを中心に支持。
  • Eメール配信、ダイナミックなランディングページ生成などのウェブ機能を持ち、メール、ウェブサイト、モバイル、ソーシャルメディア、ダイレクトメールなどのマルチチャネルでのレスポンスデータが管理できる。
  • レスポンスデータを使ってセールスリードをスコアリングし、マーケティングファネルを精緻に管理できる。

Responsys:

  • ECサイトなどB2C企業を多くの顧客に持つ。
  • Eメール配信機能のほか、DSPと連携できる機能も持っており、メールと広告配信を組み合わせたキャンペーンが展開できる。

ともに、マーケティングオートメーションをベーストしながら、部分的にCookieやソーシャルとの連携ができるようになっています。これらにBlueKaiがデフォルトで統合されると、サードパーティデータやウェブとの統合が促進することが想像できます。

まわりの評価

では、まわりはどう見ているのでしょうか? 実は、アドテク側の人たちはあまり評価していません。

CRMは、一つの顧客データベースを中心に、できるだけ多くの業務機能を搭載して包括的に顧客ニーズを満たそうとする製品の志向を持っています。しかしながら、アドテクでは、狭い一つの機能分野に特化し、集中投資することでトップのポジションをとるとともに、他のサービスと連携して顧客に付加価値の高いソリューションを提供しているという違いがあります。

その状況の中でのまわりの意見ですが

  • Oracleの閉鎖的な世界に、オープンなエコシステムを作ってきたBlueKaiが取り込まれて閉じてしまう。
  • AdobeみたいにOracle Marketing Cloudもいいんだけど、BlueKaiは単体でも使えるようにしておいてね。
  • 巨大かつ完璧な統合プロダクトが出来上がったとしても、技術の変化は激しいから、スウィッチングコストが上がるようなプロダクトは使いたくない。いい機能だけを選んで使いたい。
  • Salesforce、Adobe、IBMとも連携しておいてね。

などなど、少し否定的な意見が多いようです。恐らくは、ポイントソリューションが多すぎるので、統合して分かりやすくして欲しいんだけど、統合しすぎると個々のプロダクトの良さが薄れてしまう。いい具合に連携して欲しいー、ということのようです。

今後、Oracleがどのような製品を作り上げるのか楽しみです。

オラクルも昔は「ベスト・オブ・ブリード」を標榜していたのですが、会社が大きくなるにつれてIBMに次ぐ帝国を築き上げるようと躍起になっていますね。また、同社のこれまでの買収における閉鎖的な対応から、本件に対してもネガティブな印象をもたれる方が多いのは頷けます。
しかし、ポジティブな側面としては、日本においてこれまで断絶してきたように見える、SI系という人たちとWeb系という人たちをオラクルがつなぐことになるかもしれないと思っています。お互いに得意とするソリューション分野をオラクルが提供するプラットフォーム上で実現するために盛んに交流が行われるのではないかと。結果的に市場がより活性化し、ユーザにメリットをもたらすことになるのではないかと。
考えすぎでしょうか?

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投稿日:2014年3月12日 カテゴリ:CRM マーケット トップニュース