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Microsoft CRMとERP:4つの不満と賞賛

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Microsoft Dynamics Convergenceは、マイクロソフトの業務アプリケーションであるDynamicsシリーズ最大のイベントです。毎年世界中から大勢の顧客とパートナを招いて開催されています。もちろんマイクロソフトのプライベートイベントであり、製品の優位性を語る上でこれ以上の舞台はないでしょう。しかしながら、今回のMicrosoft Dynamics Convergenceでの製品メリットの訴求は(マイクロソフトらしからず)少々保守的であったとの見方もあるようです。

Convergenceイベントにおいて、マイクロソフトはDynamics ERPとCRMの競合他社との違いについて言及できず

マイクロソフトビジネスソリューションズはDynamics CRMとERPアプリケーションを担当する部門ですが、多くの有利な手札をもっているにもかかわらず、今週アトランタで開催されたMicrosoft Convergence Conferenceという絶好の機会においてそれを使うことはありませんでした。

マイクロソフトは、クラウドインフラの規模と成熟度の観点からにおいてアマゾンについで二位の地位にありながら、ハイブリッド型導入オプションと選択の自由さにさほど重点をおかず、とても控えめでした。基調講演は顧客志向の時代に関するものでとても一般的なものでした。あーあ(ため息)。

Microsoftは自慢できたことが多くありました。しかし、同社は、際立ったものを強調するよりむしろ、あまりにも「右にならえ」だったのです。以下は、MicrosoftのERPおよびCRMについてのいくつかの多事雑言です。

不満:マーク・ベニオフ(Salesforce.comのCEO)と同じことはするな

MicrosoftはクラウドやオンプレミスCRMオプションを提供しており、選択肢を広げるという理由で年間5000万ドルもの費用を払うSalesforce.comの顧客になる必要はありません。個人情報やセキュリティに意識の高い金融サービス業、NSAのPRISM(監視プログラム)に影響を受けるような多国籍企業や、米国ベースのクラウドサービスプロバイダにますます慎重になっている欧州系企業にとって、オンプレミスという選択肢は、それを提供するベンダーにとっては切り札なのです。

[Dynamicsの詳細についてはこちらをご覧ください。「Microsoftがエンタープライズアプリケーションを一新」]

「私たちの業界においても素晴らしい時代であり、世界中でみても素晴らしい時代なのです」というベニオフ風のキャッチフレーズではなく、基調講演の講演者は豊富なハイブリッド型導入オプションと選択の自由におけるキーポイントを力説してくるべきでした。思い出すべきことは、Microsoftの顧客は、オンプレミスまたはAzureのクラウド上に展開するために、同じシステム管理、監視、仮想化、セキュリティとアクセス制御ツールを使用できるということです。

賞賛: 手に入れたものは見せびらかせ

Convergenceでの重要な発表に含まれていることは、春にリリースが迫ったMicrosoft Dynamics Marketing、Microsoft Social Listening、Unified Service Deskの提供や、MarketingPilot、NetBreeze、およびParatureの買収により、Dynamics CRM(他のアプリケーションもすぐに)と、ユーザーインターフェイスの一貫性とプロセスワークフローの観点において完全に統合された他社にはない機能を実現できるということです。

マーケティングチームからのリードはCRMに保存され、使い慣れたMicrosoftのBIレポートおよび分析ツールおよびインタフェースで分析することができます。ソーシャルな観点からの分析は、適切なサービスチャネルと連携するFacebookやTwitterの不満や苦情を用いて、マーケティング、営業、またはサービスのコンテキストで実行できます。Unified Service Deskは、以前は完全に別のものだったコンタクトセンターの担当者のためのサポートインターフェースと連携し、Paratureの技術でもって、豊富な新しい知識ベースとセルフサービスオプションを使えます。

より深く調べれば、Microsoft Dynamics Marketingの管理と分析機能は、従来のテレビ、ラジオ、印刷物、イベント、およびテレマーケティングによる努力だけでなく、電子メール、Web、およびソーシャルキャンペーンに拡張できることを知ることになるでしょう。そして、競合製品では通常最初に英語に翻訳してから分析しなければならないため潜在的に翻訳段階でニュアンスを失うのに対し、Microsoft Social Listeningは5ヶ国語に対応しているのです。これらは基調講演において力説されるべき競合優位性といえるでしょう。

不満: サービスとしてのERPの提供にもたもたするな

Microsoftは10件中9件の新規CRM顧客は、Microsoft Dynamics CRM Online(オンプレミスの導入ではなく)を選択していると述べていますが、なぜAzure上でのマルチテナントサービスとしてのDynamics AXの提供は遅々として進まないのでしょうか。CRMとERPが全く異なるアプリケーションであり、ERPは圧倒的にオンプレミスで導入されています。しかしながら、SAPやOracleはWorkdayやNetSuiteのようなものを真剣に考えていることもあり、McrosoftもAXをこの動きにのせるべきでしょう。2015年には約束されているようですが後回しにするのでしょうか。それはいけません。

Microsoftは昨年、AzureでのDynamics GPとDynamics NAVのプライベートクラウドホスティングを追加しました。Convergenceでは、テスト、開発、およびAzure上でのバックアップ・リカバリインスタンスとしのDynamics AXのプライベートホスティングホスティングを発表しました。少なすぎますし、遅すぎです。

Microsoft Business Solutions担当EVPのKirill TatarinovがInformationWeekに語ったことは、売上10億ドル以下および従業員数1,000人以下の中堅企業に主に販売するSaaSベースのERPを期待しているということです。しかし、Workdayはこれまでかなりの間、一貫してこの領域に踏み込んできました。マルチテナントサービスとしてAXは、今週にも発表すべきなのです。

賞賛: マイクロソフト基盤の優位性を活用

多くの顧客が導入に関して話していましたが、その共通のテーマは、MicrosoftはERPやCRMをこえたものを提供しなければならない、つまりすべての優位性をとるべきということでした。例えばデルタ航空は、食品や飲料の機内購入をサポートするために、Dynamics AXの小売販売時点情報管理(POS)機能とWindows Phonesを使用しており、有料による搭乗後の座席アップグレードや国際線で導入された際に配当を払うものをサポートするために使われていると、IT部門のディレクターであるDarrell Haskin氏は言っています。

デルタ航空は、メニュー、価格設定、販売促進の変更を行うと、すべての19,000以上のWindows Phone搭載の客室乗務員にそれらを「一晩で」通知できるとHaskin氏は述べています。Microsoftは、POSアプリケーションからのモバイルデバイスに、エンドツーエンドで制御できるからです。さらに、デルタ航空の旧POSシステムと個別開発された高耐久性のデバイス上では「数週間または数ヶ月」かかっていたと述べています。

他の顧客はさらに強調しました。例えば、新興のベルギービール醸造元Lotus F1のGriffith Laboratories氏は、1ベンダーでの作業の一貫性と保証を指摘しました。また、「我々は、オペレーティングシステムからSharePoint、SQL Server、BI、レポーティングサービス、分析サービスなどに至るまで、Microsoftの技術基盤に移行しているので、Dynamics AXのが私たちの技術的なスイートスポットなのです。」と、Griffith Labs のグローバルIT部門のVPであるRobert Kero氏は述べています。

エンタープライズアプリケーションの世界には、SAPがいて、Oracleがいて、次に多くのクラウドベンダーとTier 2のレガシーベンダーがいます。Salesforce.comやWorkdayは急速に成長しており、それなりの知名度を有していますが、全てにおいてMicrosoftは支持されており、リストの3番目にいるべきであり、いることができるはずです。これは、まさに今こそ、オールインで行くべきであり、多くの間もなく引退するソフトウェアをリプレイスするチャンスをつかむ時です。

著者:  Doug Henschen
『InformationWeek』編集長 Doug Henschen氏は、情報管理、ビジネスインテリジェンス、ビッグデータと分析などエンタープライズアプリケーションに共通する部分をカバーしているInformationWeekの編集長です。彼は以前、Intelligent Enterprise、Transform MagazineおよびDMニュースの編集長を務めていました。15年以上、ITおよびデータドリブンのマーケティング領域を担当しています。

マイクロソフトがこれまで顧客と培ってきた信頼は厚く、そして常に次への展開への期待は高いです。 彼らを信じて来た顧客の立場からすると未来を期待させるメッセージを出し続け、安心を与えてほしいと思うかもしれません。しかし、米国のソフトウェア企業が常に大言壮語なメッセージが当たり前という感覚からすると今回のような内容のイベントはたとえ堅実路線に舵を切ったという背景が仮にあったとしても顧客に不安を残すことになってしまうかもしれません。
CEOの交代など社内政治的な事柄が片付いて、業界のリーダとして振る舞うマイクロソフトの姿に戻ることを期待しますね。


この記事は、http://www.informationweek.com/に掲載された「Microsoft CRM, ERP Push: 4 Rants And Raves」を翻訳した内容です。

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投稿日:2014年3月9日 カテゴリ:トップニュース レビュー