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最近よく聞くオムニチャネルリテイリング

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オムニチャネルリテイリングって、最近よく耳に入ってきませんか? どのチャネルでも顧客と向き合い、リアルタイムに最適なサービスを提供できるオムニチャネルリテイリングは小売業界向けの最先端のCRMです。小売業界以外の方も、CRMにたずさわる方なら是非知っておいていただきたい、そのコンセプト、機能についてご紹介していきます。

最近よく聞くオムニチャネルリテイリング

小売業界を取り巻く技術環境の進化

インターネットができてから20年近くの年月が経ちましたが、その間ECは大きく進化を遂げてきました。サイト訪問者にできるだけ効率的に商品を買ってもらえるよう、ユーザビリティは微細にわたるまで研究され、サイト内の行動履歴や購買履歴から効果的なレコメンデーションがサイト上やEメールを通じて魅惑的なオファーとともに表示されるようになりました。ウェブ広告でもCriteoなどのようなレコメンデーション広告が隆盛を極めています。さらに最近では、Amazonや楽天など大規模事業者が物流設備に大規模な投資を行ない、即日配送まで可能になってきています。
これまでの進化はあくまでPCから購入されることを前提とした進化だったのですが、近年スマートフォンやタブレットが新たな進化を引き起こしてきています。今年はスマホEC元年とも言われ、楽天とZOZOTOWNはともに、年内にスマホ経由売上の比率が40%を超える見込みであることを発表しており、2013年の1年間で倍増する予想を立てています。
また一方では、ショールーミングと言われる購買行動の変化が注目を浴びています。ショールーミングとは、店頭で実物を見ながらスマホで最も安い店舗を見つけて購入してしまうことです。特に店頭で見てAmazonで買うという行為は小売店で問題視され、プライベートブランド品を多く増やしたり、ローコストオペレーションを徹底して価格競争をおこなうなどの対策が進められています。面白い例として、オーストラリアのブリズベンで、見るだけで買わなかった人には5ドルをチャージするという店舗まで現れてきました。それぐらい、ショールーミングについては小売業界で危機感をもって見られています。
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オムニチャネルリテイリングのコンセプト

現在では、消費者の購買行動は、メディア接触から検討段階に移る際に、店頭で実物を見る、ソーシャルメディアで評判を見る、などと多層化が進むとともに、実際の購入は最も価格が安いと思われるウェブチャネルで行なう、というようにオンラインとオフラインが入り交じった複雑な形態へと進化を遂げています。
オムニチャネルリテイリングでは、ECサイト、ソーシャルメディア、店舗などの複数チャネル間での顧客データを統合し、一貫したサービスを提供できるようにすることで、顧客に楽しい買い物体験を提供できるようにすることを目指しています。加えて、従来ECと店舗間で分散管理されていることの多かった在庫情報も統合し、どのチャネルで買っても違いの無い状況を作り出していきます。
例えば、以下のような購買行動の変化が実際に起こっています。

  • ECサイトで見て興味があった商品を、ウェブで試着申し込みを行い、店頭で試着後に購入
  • 店舗に来たものの在庫が無く、ショップスタッフがタブレットで他の店舗に在庫があることを確認、お客様の自宅へ配送

ECから店舗への誘導の動きも加速しています。例えば、丸井ではECサイトから各店舗のどこに在庫があるかを見えるようにすることで、店舗での売上増へ貢献させています。
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オムニチャネルリテイリングの実現に必要な機能

小売・消費材業界に強い経営コンサルティングファームのKurt Salmonは、オムニチャネルリテイリングに必要な機能を以下のようにまとめています。

  • Omnichannel order management and network inventory availability:
    ネットワーク上で、受注管理と在庫管理ができること。ECや店舗など複数チャネルにまたがるスタッフが共通の情報を用いて業務が行なえる必要があります。
  • Store fulfillment:
    EC向けに巨大な倉庫を作り配送を行なうことよりも、店頭在庫から配送させたほうが、投資を抑えることができ、効率的になります。そのために、店舗からの顧客への配送、店舗間の商品融通などの自在な管理ができる必要があります。
  • Store inventory management:
    在庫情報をいかに正しく収録するか、というのもオムニチャネルリテイリングでの重要なポイントです。欠品という顧客体験は、顧客に大きな失望を与えます。そのためには、在庫の定義をしっかりとして正しい情報を収録する必要があります。
  • Omnichannel workforce management:
    オムニチャネルリテイリングでは、オンラインから店舗への送客がかなり強化される反面、その労働力をいかにマネジメントするかが課題になってきます。例えば、キャンペーン実施時の臨時スタッフ採用など、従来であればPOSや会計システムなどで管理していた情報を一元化することで、収益管理が容易になります。
  • Channel-agnostic returns management:
    複数チャネルで返品管理ができるようにすること。返品が簡単に行えることは、顧客体験の向上に大きく貢献します。

上記の通り、オムニチャネルリテイリングというと、基本的には店舗をバックアップフルフィルメントセンターにすることが主要なコンセプトですが、さらに顧客情報を統合することで、非常に強力なCRMシステムとなります。この辺りは、東急ハンズが2012年に店舗とECのポイントを統合するなど、率先して進めている事例があります。
もし、メールやソーシャルウェブサイトでキャンペーン告知を受け、店頭まで来て買い物する際に、会員であることを判別され、特別なディスカウントなどをオファーされて、在庫が無かったらデータベースに登録された自宅の住所まで配送、なんてサービスされたら、そのお店のファンになってしまいそうですね。
最近O2Oという言葉が多く流通していますが、単純に言うと、クーポンを配布して店頭まで来させるのがO2Oであり、そこから先の購入までいたる全てを包含するのがオムニチャネルリテイリングです。オンラインとオフラインを含めてCRMできるオムニチャネルリテイリングは、今後数年で大きく発展しそうです。

著者:crmreviews.jp

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投稿日:2013年11月12日 カテゴリ:トップニュース ベストプラクティス