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カスタマージャーニーマップの作り方

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最近よくカスタマージャーニーというキーワードが取り上げられています。その意味するところは文脈により若干異なっているように見受けられますが、CRM的な文脈で言えば認知から購入、そして再購入と至るまでに顧客がたどる軌跡と意味づけることができます。 もちろん自社にとってのカスタマージャーニーがどういったものになるのかは個別に定義を行う必要はあるかもしれませんが、戦略とデータの組み合わせにより実現するコンセプトのようです。

カスタマージャーニーとは、何か?

CRMが単なる営業管理のツールから、複数チャネルをまたいでマーケティングやカスタマーサービスを統合するものへ進化する中で、複数チャネルを横断した顧客の動きを分析する必要が出てきました。オムニチャネルとよく言われるようになりましたが、ブランド認知から購買、ロイヤルカスタマー化にいたるまでに顧客がたどる軌跡としてのカスタマージャーニーを把握できていることが、オムニチャネルに対応するための前提になっています。

しかし、ウェブサイト、メール、店舗、ソーシャルメディア、コールセンターなど、複数のチャネルのデータを統合して分析するのは至難の技です。今回は、カスタマージャーニーマップの作り方と題して、それらの情報をまとめていきたいと思います。


データの集め方

まず、どうやってカスタマージャーニーをトラッキングするのかというと、オンラインについては技術の進展から、かなりのデータが取れるようになってきています。例えば、今年流行しているDMP(データマネジメントプラットフォーム)だと、ウェブの行動履歴、メールのクリック履歴、ソーシャルメディアのデータはもちろん、POSなどのオフラインのデータも統合管理することが可能です。

基本的には、最も精緻かつ正規化されたデータが取得できるウェブの行動履歴データを軸にして、他のデータを加えていくことで分析するためのデータベースを構築していきます。


データの分析、何のためにカスタマージャーニーを分析するか

顧客や見込み顧客の行動履歴のデータは膨大なものになります。さらに、オフライン系のデータなども加えていくとさらに膨大ですし、それぞれデータの形式も異なってきます。もし、ビッグデータ系のツールと専門知識を持つアナリストがいれば、分析も簡単でしょうが、一般的な会社では難しいと思われます。そこで、一部のベンダーは、分析のテンプレートやプリセットされた予測モデルをあらかじめ組み込んでおいて、データを入れれば自動的に分析され、業務に活用できるようなソリューションとして提供している例もあります。

現在、カスタマージャーニーについて語る際には以下二つの文脈からのことが多いと思います:
1. CX(顧客体験)のデザイン・改善
2. マーケティングROI分析
それぞれ見ていきたいと思います。


1. CX(顧客体験)のデザイン・改善

まず、製品・サービスの認知から、調査・検討、購入、リピート購入までの顧客の動きをステージに分解します。広告やウェブサイト制作が目的だと、AIDMAのような購買態度変容プロセスをベースにしていることが多いようですが、事業会社が行なう場合は店舗やコールセンターなども含めたそれぞれのタッチポイントに分解していることが多いです。

次に各ステージでの顧客のニーズとアクティビティ、それに対して自社が実施しているアクティビティを並べて記載します。そして、各ステージ別に顧客がどのような感情を持つか、Happy/Sadなどで評価をおこないます。基本的には、部門横断的なプロジェクトチームなどが議論をしながらマップを作っていくイメージです。

その点で、参加者の経験を元に議論しがちなため、顧客ベース全体に対して代表性を持ち得るか?、または、タッチポイントまで到達していない見込み顧客については経験が無いから対象から外れてしまうことなどが課題として出てきます。多くの場合、顧客ベースをある程度セグメント化して、それぞれのペルソナを設定し、複数のカスタマージャーニーマップを作成することで、この点をカバーしようとしています。

ただし、例えば各ステージ/タッチポイントに分解する際に、それぞれの責任者/部門の名前を記載しておくことで、CXの改善のためのKPIの設定なども同時に進めるなど改善策に直結できるカスタマージャーニーマップを作成することができる点はメリットです。また、顧客が購買の意思決定を行なう瞬間である”The Moment of Truth”(真実の瞬間)について意外な発想から出てきやすいのではとも思います。


2. マーケティングROI分析

ウェブプロモーションの世界であれば、それぞれの広告が購入に対してどの程度貢献したかを分析する、アトリビューション分析が多くの企業で採用されてきており、広告接触プロセスでの評価ができるようになってきています。そこに、オンラインデータとオフライン含む多様なデータが統合管理できるDMPが登場してきたことで、カスタマージャーニーの分析がさらに進化しようとしています。

例えば、広告接触について、ウェブのディスプレイ広告は数値が取れます。加えて、テレビ視聴データ、さらには店舗への来店データなども、調査会社のパネルから取得することができます。オフラインデータとオンラインの行動履歴をDMPなどのツールで統合できると、より代表性のある、広大なカスタマージャーニーが把握できるようになります。

各種広告に接触し、ウェブでサイトに訪問し、どこかのタイミングで購入を意思決定し、実際に購入したかという、より包括的かつ大規模なサンプルデータを元に分析することができることは、年間数十億、数百億円単位で広告や販促に投資している広告主にとっては非常に有益なデータになります。


カスタマージャーニーに関連するソリューション

一部ですが、関連するソリューションをご紹介します。

Touchpoint Dashboard

http://www.touchpointdashboard.com/
  1. 議論しながらポストイットを貼っていくような雰囲気で、カスタマージャーニーの分析ができるツールです。
  2. データを投入することで、ある程度自動的にマップが生成できるようになっています。


Causata

http://www.causata.com/content
  1. オンラインとオフラインの1st partyデータを顧客IDやEメールアドレスなどをキーに統合し、ウェブ広告、そのランディングページの最適化に使用できるようにしたソリューションです。
  2. 顧客の識別が必須である金融関連にフォーカスして、複数チャネルの顧客データ統合ができる良さを活かしているようです。
  3. ウェブ行動履歴から、製品別の購入意向をスコアリング表示し、キャンペーンを設計する際に、ランディングページのコンバージョンパスごとにシミュレーションできる点が秀逸です。


adometry

http://www.adometry.com/advertisers-agencies/advanced-attribution.php
  1. ウェブのアトリビューション分析から、オフラインデータも含めた計測ができるように発展させています。


eBay Enterprise Attribution

http://www.ebayenterprise.com/marketing_solutions/affiliate_network/
  1. 詳細はウェブサイトには出ていませんが、1st, 2nd 3rd partyデータ(もしかしたらeBayの購買データ?)が使えるようになっています。


参考URL

データを使ってマーケターは何をするのか [第3回]デジタル時代のマーケティングを考える / Digital Experience!
http://digitalexperience.ismedia.jp/articles/-/549

The Customer Journey to Online Purchase / Google
http://www.google.com/think/tools/customer-journey-to-online-purchase.html

Seven Steps for Developing Customer Journey Maps / Customer THINK
http://www.customerthink.com/blog/seven_steps_for_developing_customer_journey_nbsp_maps

著者: crmreviews

いかがでしたでしょうか?カスタマージャーニーマップの活用はWebだけの話ではありませんが、比較的容易にデータの取得ができるWebの世界の方で先行して施策が展開されている様です。
日本でも大手ベンダーから次々にB2Bマーケティングソフトウェアがリリースされており、カスタマージャーニーのコンセプトはそれらの導入目的の1つとなっていくのだと思われます。

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投稿日:2013年11月29日 カテゴリ:トップニュース ニュース