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CXソフトウェア市場は存在するのか?

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顧客エクスペリエンス(CXと略されています)という用語は非常に曖昧で、広義から狭義までさまざまな解釈があるといえるでしょう。この記事では、この「CX」のためのソフトウェア市場というものが存在するのかどうかを、CRMソリューションとの関連性を踏まえつつ議論しています。

CXソフトウェア市場は存在するのか?

CX戦略はCXソフトウェア導入を必要とするのか?

顧客エクスペリエンス管理(CXMもしくは単にCX)が、定量的に測定できる目標と全社的な業務プロセスがあり、そしてアナリティクスを必要とするビジネス戦略であることは明らかです。しかしながら、さほど明らかになっていないのは、この戦略を支援するための、他とはっきり異なるエンタープライズ向けソフトウェア市場の分類があるのかどうかということです。つまり、「CXソフトウェア市場は存在するのか」ということです。Forresterが言うには、答えは「Yes」です。私の友人のPaul Greenbergは「No」と言っており、「この先も存在しないだろう」と付け加えています。いくつかのソフトウェアベンダーは「Yes」と言い、提案できるCXソフトウェアを持っています。

私とCRM業界の重鎮であるPaul GreenbergとのCXMに関するビデオ会議では、Paulは「CXはソフトウェア市場にはならない」と回答しており、ソフトウェア企業に大いに関係するであろう宣言をしていると感じました。CX戦略のために設計され、CXと冠をつけたソフトウェアソリューションを力強く提案、提供している企業があるにもかかわらずです。 私達がこの市場を評価しているので、Paulはとても説得力のある反論を展開しています。しかしビジネス戦略はソフトウェアによる自動化を必要としています。そしてそれは、プロセスを測定し、実行し、一貫性をもたせるためであり、継続的なプロセスの改善に必要となる、意思決定者へのアナリティクスを提供するためです。次なる疑問は、CX戦略はCXソフトウェアを必要としているのか、あるいはCXは、CRMソフトウェアのような既存のものでサポートできるのか、ということです。

数社のソフトウェアベンダーはブランドやプロモーションを、CRMソフトウェアからCXソフトウェアという新しいブランドへ変えてきています。OracleはOracle CXと呼んでおり、KanaはCRM製品名を”Service Experience Management”から”Customer Experience Management”へと変更しました。私とSteve Kraus、そしてPega software社のシニアCRMエクゼクティブのBrian Callahanとの議論では、微妙ではあるが興味深いターミノロジー(専門用語)の変更であり、今やユーザは「顧客関係管理(customer relationship management)」と「顧客との関係を管理すること(managing relationships with customers)」を2つの異なるトピックとして使っていると指摘しました。つまり、前者は主として技術指向、後者はよりプロセス指向であり、それらに続いてCXや顧客指向の戦略に関するトピックがあるというのです。

このCXソフトウェアのポジショニングは、実際には、3年前に当時Rightnow Technologies社のCEOであったGreg Gianforteによって提唱されました。GregはCXのエヴァンジェリストでもあり、改善されなければならない課題としての位置づけにあるCRMを捨ててしまうこともためらいませんでした。彼はCRMの欠陥率と無力さが、新しいソフトウェア技術へのニーズを必要とするであろうことを示唆しました。興味深い視点ではありますが、実際には、CRMソフトウェア市場はそのように失敗策ではなく、2ケタ成長を達成する20億ドルもの市場になったのです。同様に、顧客というものを第一におけなかったことは経営上の問題であり、ソフトウェアの限界によるものではないのです。実をいうと、戦略よりも先に技術をもってきてしまうということは、CRM失敗率の原因の最初にくる項目なのです。

「顧客エクスペリエンス」というメッセージがRightNow社によってポジショニングされたとき、市場の心に響くものではありませんでした。RightNowは、Oracle、SAP、Salesforce.comといった企業から離れたところで、新しいエンタープライズソフトウェアのカテゴリをつくることに失敗したのです。そして、素晴らしいB2C向けのクラウドベースの顧客サービスアプリケーションをリリースしたものの、最終的には2012年1月にOracleに買収されました。

OracleのRightNow Technologyの買収はOracleのCXポートフォリオを拡大するのに貢献しました。Oracleは、CXの目標は統合されたソフトウェアソリューションの集合体でもって最適なものを提供することであり、顧客とやりとりをする際に、適切なコンテンツを提供することだと言っています。

このポジショニングはより意味があるものと言えます。リアルタイムに、文脈を意識した、そして顧客とのやりとりのプロセスと結果を、データとして抽出し配信するために使われるソフトウェアの集合体ということです。妥当なことだといえるでしょう。そして、Gianforteのポジショニングとは違って、OracleはCRMを捨てないままCXを推進しており、CRMを手持ちのチップとする一方で、競合優位性というものはめったに出さないものの、顧客向けにはCX の仕組みを提案しています。

  • MDM(マスターデータ管理)、CRM、コンタクトセンターや新しいマーケティングオートメーション技術
  • ERP、SCM、MRPといったバックオフィスアプリケーション
  • VOC(顧客の声)、EFM(フィーっどバック管理システム)やサーベイツールといった顧客との関与に関するアプリケーション
  • データを集め、意思決定者へすぐに使える情報を提供し、継続的なプロセス改善のためのBIソリューション


顧客エクスペリエンスの目的を達成することは、エンタープライズソフトウェアと、必要なときに顧客との接点において特定のコンテンツもしくはナレッジを提供するというゴールの双方のすりあわせを要します。別の視点から見ると、どんなエンタープライズアプリケーションなら顧客エクスペリエンスのプロセスに貢献するのか、どんなエンタープライズソフトウェアなら、顧客からの問い合わせに答えるのに必要な顧客情報や製品、受注、購買、出荷やその他補佐的なデータをもたせられるのかという疑問が沸き起こります。こうなると、”IT”と呼んでいたものがつまり”CX”なのではないかと、振り出しに戻ってしまうのです。

あるいは、その両者の間には違いがあるのでしょうか。

CXの目的をサポートするソフトウェアを探すために、すでに知っている市場分類を見てみましょう。例えば「CRM」です。極めて適切な、文脈に沿った情報をほぼリアルタイムであらゆるチャネルと端末を通してスタッフやお客様に提示でき、そしてお客様の期待以上のサービスを提供することは大変難しい注文ですが、既存、そして新しい技術の組み合わせで対応できるものだと言えます。

多くの顧客との接点に関するソリューションがスイートへと姿を変え、そういったスイートより広範囲なコアアプリケーションに統合されていくでしょう。CXが自立したソフトウェア市場とはまだ確実にはいえませんが、その一方で、まもなく現実のものとなるソフトウェアスイートと、この問題に立ち向かうために設計された新しい革新とのコンビネーションが、確実に新しいCX市場を作るでしょう。

結論として、CXソフトウェアはひとつの市場といえるのでしょうか。確かに、CXという名のもとに販売され導入されるソフトウェアツールとテクノロジーはあります。しかしながら、現時点においては、そのツールはバラバラであり、ポイントソリューションとして提供され、全社的なアプローチというものが欠落しています。しかし、そのツールがCX戦略に沿ったエンタープライズスイートと融合し、チャネルを越えたナレッジとコンテンツを継続的に提供するという難しいゴールを達成できる能力があれば、端末や顧客との接点がどんな形であっても、顧客エクスペリエンスに報いることができ、そしてその暁には、次なるエンタープライズソフトウェアの市場を見る日がくるでしょう。

著者:Chuck Schaeffer

CXソリューションというものはつまりは我々がITと呼んでいるものなのではないか、そして多くのソフトウェアを連携させていくものであるという展開は、CXソリューションは全社的なものであり、現在存在している業務アプリケーションとはまったく質が異なるモノではないといことでしょう。多くのCRMソリューションはERPなど他のアプリケーションとも連携させることができますが、何のためにそうするかといえば、よりよいサービスを顧客に提供することであり、なぜそうしないといけないかというと、顧客エクスペリエンス(CX)を向上させたいからということになります。

今日のような激しい競争社会で、業務アプリケーションを何のために導入するのか、単一の部門や業務の最適化ではないということが分かる記事でもあったといえますね。ゆえに、なかなか進まないという側面もあるのかもしれませんが。


この記事は、CRMsearch.comに掲載されていた「Is There a CX Software Market?」を翻訳した内容です。

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投稿日:2013年11月7日 カテゴリ:トップニュース ホワイトペーパー