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2013年上半期のCRMマーケット その③

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前段

本サイトをご覧の方は、IT業界やCRMを選定されている事業会社の方が多いのではないかと思いますが、最近の広告テクノロジー(Adtech/アドテク)が急速に発展してきていることについては、耳にはさんだことがあるのではないでしょうか?今回は、そのアドテクとCRMの領域がお互いに拡張を続け、近づき、さらにオーバーラップし始めているということをご紹介します。

CRM領域の拡大

従来、CRMシステムというと、顧客データベースを軸に、顧客に接する様々な業務部門が使用する機能を加えて構築されていました。営業担当者が使うSFAとしての機能や、コンタクトセンター向けの機能などです。基本的には、既に取引のある既存顧客に関するデータを統合管理するという発想があり、顧客のプロファイルに、取引のデータ、営業活動などのコンタクト状況などのデータを関連付けてデータベースを構築していきます。

加えて最近では、ソーシャルメディアのデータを取り込み・連携させたり(ソーシャルCRM)、見込み顧客のデータを統合したり(マーケティング・オートメーション)するなど、その範囲が拡張されてきています。このあたりは、前回の記事(2013年上半期のCRMマーケット その②)で大手CRMベンダーによるM&Aが活発化していることをご紹介した通りです。


アドテク領域の拡大

従来、広告というと、不特定多数の集団に対し、特定のメディアの広告枠を通じて、目的とするメッセージを伝えるというものでした。しかし、最近では、自社ウェブサイト内での一人一人の行動履歴を蓄積・分析し、その一人一人に対して入札を通じた異なる価格で1回ずつ広告を表示させるRTB(リアルタイムビッディング)の技術が発達してきています。ウェブ上の行動履歴をCookieを通じてトラッキングし、自社にとって価値の高い人に対しては高い値付けをしてオークションで入札し、一番高い広告主の広告が表示されるというものです。

ここ2、3年で急速に発達しているRTBの分野ですが、今年からDMP(データマネジメントプラットフォーム)というツールが相次いでリリースされています。このDMPというツールですが、Cookieによって捕捉されたウェブ上の行動履歴に加え、性別・年齢などのデモグラフィックデータ、購買履歴などのデータも統合管理できるというものです。

さらに米国では、DMPのオーディエンスデータに付与する様々なデータを提供するベンダーも多く登場してきています。クレジットビューロー、リストブローカーなどの巨大な産業がある米国では、従来からデータの売買が盛んであったため、DMPへもどんどんデータが供給されています。もちろん、個人が特定できれば購買履歴などのデータと統合されますが、IPアドレスが分かるだけでも、所属企業が分かり、平均年収が分かり、それに合わせた広告が配信されるということになります。個人単位でメッセージングができる点で、CRMと近い存在になってきています。


CRMとアドテクの統合

このDMPですが、主にバナー広告のターゲティングに用いられることが多いのですが、最近ではメール配信などのCRMツールとの連携が相次いでいます。つまり、メールに反応しなかったオーディエンスにのみ広告を配信することも可能となります。デモグラフィックや購買履歴のデータも収録されていますので、定期的に購入する商品についてまずメールで購入を促し、それで反応がなかったら広告を配信するといったキャンペーンを設定することも可能になります。

このように、DMPの持つ機能は大きな可能性を秘めています。行動履歴からカスタマージャーニーのどの地点にいるかを符合させ、それに合わせた最適なチャネルでのコンタクトを設計することができるようになるのです。


各企業の動き

アドテク業界の動きに合わせ、大手のITベンダーが市場性を感じてきたのか、関連製品を持つベンダーの買収を通じてソリューションを整えてきています。これらは最近のビッグデータの潮流も受け、非常に活発化しています。DMPを軸とし、主にアクセス解析などの機能やDSPなど広告配信システムとの連携機能を持っています。

・IBM:IBM Marketing Center
http://www-03.ibm.com/software/products/jp/ja/all-in-one-marketing/
・Adobe:Adobe Marketing Cloud
http://www.adobe.com/jp/solutions/digital-marketing.html

逆にアドテクベンダーは、CRMベンダーとの距離を縮め、メール配信システムとの連携を進めています。
・Xrost DMP:ExperianのMail Publisherと連携
http://dmp.xrost.ne.jp/

また最近では、アドテクを含めデジタル広告エージェンシーを既存CRMソリューションを提供してきていたコンサル会社が買収する動きも出てきているようです。
・戦略コンサルのデジタルエージェンシー取り込みの波再び
http://g-yokai.com/2013/10/post-326.php

さて、2013年下半期はどのように変わっていくのでしょうか?今後も様々な動きをウォッチしていきたいと思います。


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投稿日:2013年11月1日 カテゴリ:CRM マーケット トップニュース