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営業パイプライン管理におけるベストプラクティス

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前段

CRMと聞いた時に多くの人が頭に思い浮かぶのは営業支援つまりSFAだと思います。SFAは営業担当者の営業活動を管理するためのものではなく、活動の見える化によりその生産性、効率性を向上させることを目的としたツールです。
ひと昔前にはSFAと同時に営業方法論を用いた営業改革というものが語られていた時代もありました。「せっかくSFAを導入するのだからもっと科学的なアプローチで営業活動を効率化したい」そんな思いが一時代を築いたのかもしれません。
今回の内容はその営業方法論的なところを背景として持続的、効率的に売上を上げていくために有効な営業パイプライン管理についてです。

いかにしてパイプライン管理におけるわずかな変化が売上全体を大きく拡大させるのか

営業パイプラインの管理と最適化は多くの営業マネージャが手つかずのまま長年放置し続けてきたタスクとなっています。これは非常に不幸なことです。パイプライン管理おける非常に小さい変化が売上拡大をもたらすことになるかもしれないためです。ここでは営業パイプライン管理についての再考から得られた示唆に富む意見と、パイプライン自体の設計、管理、運用についてのいくつかのベストプラクティスを紹介していきたいと思います。


1.営業パイプラインの設計

パイプラインを個々の販売機会に対して分散管理されるように設計するのではなく、営業ファネル(漏斗)という意味合いを持って全体を構築することが必要です。これは、ほとんどの企業においては、営業ファネルの上部(TOFU:Top of the Funnel)はマーケティング部門によって、中間部(MOFU:Middle of the Funnel MOFU)はマーケティング部門と営業部門の両方によって、下部(BOFU:Bottom of the Funnel)は営業部門によって管理され、それらが一連のプロセスとして流れていく必要があるということでもあります。

営業ファネル

より大きな売上を期待するためには、営業部門にパイプラインの健全性についてのより良い理解が必要となります。つまりパイプラインについてのインフロー、アウトフロー、移動、停滞、そして速度などについての理解です。さらに言うと、引合から売上計上までの統合されたファネルを設計し、営業部門とマーケティング部門はコンバージョンを計測することができるようになる必要があります。また、ファネルのTOFUから最後まで何がどのくらい通り抜ければいいのかを正確に知ることができるようになることで、売上が予定されている案件リストから着地売上を逆算することができるようにもなります。仮説の勝率や希望的観測から来る考えなどではなく、実際のデータやコンバージョンを利用した売上の逆算が行われる時、売上予測はシステマチック(客観的かつ機械的)に行われ、営業マネージャやマーケティングマネージャは売上ファネルの中の特定のファクターを改善することが売上全体に大きくインパクトを与えることを理解することにつながります。これに関する知識は営業マネージャやマーケティングマネージャが彼らの売上拡大を目的として、そのビジネスプロセスを改善する際の優先順位づけを行う際にも利用することできます。


2.パイプライン管理

実際のパイプライン構築において最も考えなくてならない課題の1つめは引合を漏らしてしまうことです(漏斗から水があふれてしまうイメージ)。2つめの大きな問題は品質確認が行われていない引合やどうやっても勝てない案件を追い回してしまうことです。興味深いことにそれらの2つの課題には、実は共通の解決策が存在しています。その解決策とは3つのステップで構成されています。引合品質の正確な評価、営業部門とマーケティング部門のSLA(業務範囲と品質の担保)そして引合の再利用です。

Sirius Decisionsによると、マーケティング部門によって生成された引合の80%が営業部門に無視されています。GartnerやForresterそしてCSOなどで公表されている数字を見てもほぼ同じような状況になっているようです。これではマーケティング担当者は(品質確認がなされていない)引合を壁に向かって投げ続けているようなものです。壁の向こうの営業部門へ向けて。その結果はよく起きることでありかつ予測可能なことでもあります。つまり、営業部門は商談となるにはまだ時期尚早な引きをフォローアップし、買い手が(まだ)全く買う気がないこと確認し、マーケティング部門から受け取った引合のほとんどを台無しにして捨ててしまうのです。そうやって品質が確認された引合は品質が確認されていない引合の中に埋没していきファネルの裂け目に漏れ落ちてしまうのです。

引合評価モデルを導入することで引合が漏れ落ちることを防ぎましょう。最も良い引合評価モデルはデモグラフィック変数と行動履歴を分析対象として含めているものです。企業規模や業種、地域などのデモグラフィック特性があなたがターゲットとしている顧客や理想的な顧客プロファイルと合っているかどうかを確認してみましょう。行動履歴はマーケティングオートメーションシステムによって補足されます。それらには、あなたのWebサイトでの滞留時間やどのようなコンテンツを消費しているかといった潜在顧客として期待してもよいかどうかを判断するための情報が含まれます。デモグラフィックとして扱えるものだけで潜在顧客へあなたが持っている興味を共有するということを認識するできるかどうかは非常に重要なことです。一方、行動履歴は潜在顧客がいかにしてあなたに興味を持ったのかということを共有しています。営業部門とマーケティング部門が共同でたくさんのデモグラフィック変数の組み合わせや営業を開始するためのある種の閾値を設けるための基となる行動履歴の属性を確立させた時、マーケティング部門が営業部門へ確度の高まった引合を引き渡すことができるようになります。

営業部門とマーケティング部門の間でのSLAによって、マーケティング部門から営業部門へ引き渡される引合の品質と量を規定します。そして引合に対してフォローアップアクションやある時間枠内での営業活動を行うことをSLAとして合意しましょう。これまでそういった内容のSLAを開発してきた私の経験から言うと、SLAにおける相違や矛盾を解決するために定常的に打ち合わせの場を設けること重要です。もし何かしらの相違がタイムリーに解決されていけば、全体における課題や相違は時間の経過ともに減少していきますし、実際にSLAがうまく機能し始めていくでしょう。監視やSLAの相違を解決することを行っていない場合には、このSLAプログラム自体が意味がなくなっていくでしょう。

引合の再利用は以前に営業部門に引き渡され、それがいかなる理由であったとしても行き詰ってしまった引合を復活させることから始まります。営業パイプラインに埋もれてしまってゆっくりと死なせてしまずに、一度マーケティング部門へ戻し、営業開始が可能である状態であることを引合評価の結果として確認できるまで育成つづけましょう。


3.パイプラインの健全化のための運営

まず事実と向き合いましょう。営業部門の人間はいいことしか聞こえない耳と世の中がバラ色に見えるメガネをいつもかけています。営業部門のこの楽観的なものの見方は常に案件の量や品質に関して誇張して考えてしまうことにつながります。一般的な話として営業パイプラインにおいて平均的な営業サイクルの2倍程度よりも長いような案件は再検討あるいは、いったん取り除くすることをお勧めします。そういった営業進捗が遅かったり行き詰っているような案件を無視しましょうと言っているわけではありません。誇張された(事実と違う)売上が見込まれているようなものはパイプラインから除外するようにするべきですし、状態として初期すぎるような案件(営業活動を行ってもほとんど意味がないような案件)などに関してはそれらに適した方法での対応方法があるということです。案件促進用のキャンペーンの対象者として位置づけたりするなど、フォローアップのやり方は他にもあります。

また、営業案件における見込みは、パイプラインの価値を誇張して捉えてしまいがちな活動に関連付けれていることが分かっています(営業活動をやればやるほど確度が高まると考えがちだということ)。もっとも大きな課題はまさにこのことで、典型的な営業活動(品質確認、新規開拓、デモなど)は全て営業担当者が何をするかにフォーカスが当てられており、買い手が買いそうになっているかどうかと関連付けされているわけではありません。しかし、営業担当者はこれらのどんどん増える「やらなければならない」とされている営業活動をこなしていきます。買い手がどのソリューションを選ぼうとしているかには注意を払っていないため、ほとんど意味がないにも関わらずです。


パイプラインに関しての最終考

長年に渡って利用される営業パイプラインと売上モデルを構築するということは、簡単なことではありません。本格的な課題の1つとして、営業部門とマーケティング部門の調整という事柄あります。これまで引きずってきている営業とマーケティングは別組織であるという考えや、異なる目的に合わせて別々に活動してきた過去を変えてて行くことはとてもとてもチャレンジングなことです。

営業部門とマーケティング部門が共通の目的を共通することでのみ、大きな目的を達成するための業務プロセスの統合ができ、2つの部門が分断された組織から脱却し、新しい業務機能を提供することができる組織へ進化することができます。マーケティング部門と営業部門がばらばらに動いていたファネルから両組織が協調する統合型の売上ファネルを構築し、引合評価モデルや引合の取り扱いに関する部門間でのSLA、引合の再利用などを新しいビジネスプロセスに組み込むことで、営業部門とマーケティング部門は売上拡大に注力することができるようになるでしょう。

営業パイプライン管理における課題はその組織間での目的が異なっていることに原因の1つがありそうです。しかしながら、お互いの組織の目的を尊重し、協調していくことで強力なパイプライン管理を行うことができ、効率的かつ継続的に売上を作っていけるのではないでしょうか?

また、今後こういった組織間での協調をベースに強みを築いていくことを考え出すと、エンタープライズソーシャルのエリアはますます重要性が上がっていくことになり、各社のCRMに組み込まれて行っていることにも大きく頷くことができますね。


この記事は、CRMsearch.comに掲載された「Best Practices in Sales Pipeline Management By Chuck Schaeffer」を翻訳した内容です。CRMsearch.comは様々なCRMアプリケーションやCRMに関する有益な記事を紹介しているサイトであり、本サイトとはパートナー関係にあります。

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投稿日:2013年10月28日 カテゴリ:トップニュース ベストプラクティス